― 三川の恵みと江戸橋のまちで育まれた、ふるさとの味 ―

三重県津市。
江戸から伊勢へと続く街道の要衝であり、安濃川・志登茂川・岩田川の三川に囲まれたこの町は、かつて水運と商業の要として栄え、多くの人と物が行き交う場所でした。 なかでも江戸橋界隈は、街道と川が交差する商人の拠点としてにぎわい、地場の食文化が根づいていきました。
その一角にて、天保年間(1830年代)、初代・橋本清助が酢の製造を始めたのが、ジガミホンフーズのはじまりです。
参宮客や旅商人が集う地の利を生かし、やがて味噌やたまり、しょうゆといった調味料の製造・販売へと事業を拡大。
時代の流れを読み取りながら、郷土の味を守り育ててきました。
薄口しょうゆの開発と多角経営への挑戦
五代目・橋本誠太郎は、料理の繊細さが求められる関西圏に向けて、薄口しょうゆの開発に着手。 その品質と味わいは高く評価され、広く流通する人気商品へと成長します。 さらに、大手メーカーとの競争が激化するなか、洋風調味料やパスタ・食用油など、時代に先駆けたアイテムもいち早く展開。 本社周辺にはアパートや自社ビルを建設し、地域密着型の多角経営を実現していきました。

「ジガミホン」の名前に込めた思い
昭和40年代、本格的なブランド展開を進める中で誕生したのが、現在の社名にも使われている「ジガミホン」という屋号です。
これは、扇のかたちに「地紙本」と記した商標に由来しており、
「地域に根ざした本物の味を届ける」という誠太郎の想いが込められています。
地元では「ジガミホンのしょうゆ」として親しまれ、ふるさとの味として多くの食卓に並ぶ存在となりました。

昔ながらの製法と、これからの挑戦
現在も本社は、津の歴史を今に伝える常夜灯のそばに構え、 製造には直径2メートルもの木樽仕込みを採用。 石を積んでじっくりと熟成させる昔ながらの製法を守りつつ、防腐剤を使わない自然な味づくりにも取り組んでいます。

ふるさとの味を、未来へつなぐ
ジガミホンフーズは、三川の恵みとともに生まれ、江戸橋のにぎわいに育まれてきました。
その歩みは、地元に生きる企業としての誇りと責任を表しています。
変わらぬ味を、変わりゆく時代の食卓へ。
これからも、「ふるさとの味の継承者」として、安全でおいしい食品を皆さまのもとにお届けしてまいります。

